も一度読みたい!昔ばなし:2.1

Howdy! 夢旅チロルだよ!

 この話は後編、『番町皿屋敷』の考察パートだ! 前編の昔ばなしパートを見ていない人は今すぐ読んできてね! ぜひコメントしてね! 今回もコメントしていってね! ツイートとかで宣伝してもいいからね! みんなのコメントがチロルのエサになるよ! よろしく!! (盛大なダイレクトマーケティング)

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じゃ、前回冒頭で示した今回のテーマを改めて掲げよう。

『こわい昔ばなし』とはなんなのか――。

 

 『番町皿屋敷』伝説は、日本全国で語り継がれる発祥不明の昔話。奉公人の娘が、10枚の皿が1枚足りないと罪を着せられ、死ぬ。娘の霊は皿を数え続け、不幸が起こる。ついでに和尚の機転で、無事成仏する。 「え?ついで?」そうこの話、「こわい話」の趣旨に沿うなら和尚いなくても成立するし、そのつもりで話を一区切りつけています。

私はこの話の描写と省略にだいぶ悩みました。  というわけで、文章のプロと詠み人、その他様々な方におはなしのチェックをしてもらいました(10月6日)。更に推敲を重ね今の形になっています(2月25日)。この場でお礼申し上げます。

 この話の大事な点は、『日本全国にある』『発祥不明』ということ。江戸時代頃の話だそうですが、五番町とはどこか、例の娘の墓もあちこちに、和尚さんも実在時代問わず。 紙の量産と保存が難しい時代に、ほぼ同じ話が日本中に知れ渡っている。 前回の話を踏まえれば、土地柄に話を合わせていたりもするけど、ほぼ同じ。なぜ、この話はこんなに有名なのか?

 

 簡単に言えばすごく共感されたから。

 

 「奉公人」という制度は全国に昭和頃まであったという。写真が現存しているのだ。大きな工場や商社や寺社がある。貧しい子供や失業した大人がいる。営業主に特殊な形態で雇用されるのを「奉公(人)」と呼ぶ。 雇用主は衣食住と余裕があれば教育を提供し、働きに応じて給金も与える。奉公人は命を拾い面倒を見てくれる雇用主のため一生懸命働く。

手軽に雇える働き手と仕事以上を見てくれる雇い主、奉公人から逆らう理由は特にない。上下関係が完成されている。 現代社会から見ればブラックで束縛的な雇用形態に見えるかもしれない(かもしれない)が、後述のいくつかの理由で、割とそんなことはなかった。 

 『奉公人』は『奴隷』じゃない。

 奉公人を使い潰すのは、雇用主らの間ではご法度だった。彼らは数いる働き手とは違う。 先述した教育を施すというのは、彼らを自社にとってより良い人材に引き上げるのに必要なもの。今でいう、正社員に格上げすることも視野に入れていたのだ。優秀な人材には重要な仕事を任せ、成功すれば見合った褒美も与えた。ヒナでいえば「嫁に出してくれる」がそれ。特に雇用主が認めた奉公人は、最終的に暖簾分けや、経営権の引継ぎも行なったという。

当然、彼らも失敗はする。それでも責任全てを負わせ、無闇に体罰を与えたりなどはしなかった。 『奉公人に』『罪を着せて』『殺す』などの三連コンボがバレた日には、周囲からの評判もガッタガタに落ちる。徳川将軍も助走をつけて家を取り壊すレベル。

 

 ところで私はスプラッタ物が苦手で…おっとこの話は後で。 この話の役人『火付盗賊改方』は警察に近い権力者で、罪を吐かせるために自らの手を使ってでも何でもしたんです。ん?今何でも その通りです見せられないよ。ヒナは拷問の最中に指を切り落とされてる。ヒナのようにひどい扱いを受ける奉公人は一定数いたそうで、このシーン(悪い意味で)お気に入りなので入れました。

 むかしは、「ただの人が妖怪になれる」時代だったと私は思っています。

 だからこそ、この話は生まれたと思うのです。「弱い私たちだけどがんばるから痛くしないでほしい」「誰相手でも悪事には報復がある」日本中にたくさんいた、奉公人とその雇い主たち。多くの身分に刺さる、『共感される理由』がそこにありました。 なぜ、倫理や感情を問う寓話にこわい昔ばなしがあるのか? これらの話を聞いた、主に子供たちは、「世の中にはコワい人がいる」「悪役みたいにはなりたくない」と行動を戒めるでしょう。それが人に好かれ、喜ばれる善い人間像を形作っていく。

  

 こわい話が、人をやさしくするんだ。

  

 強烈に人の心を穿ち、印象に残った話は、また別の人へと広められていく。『さまざまにカタチを変え、すがたを変え』『何かを伝え』るために。山、海、町、東西南北、高貴も平民も、親から子へ、孫へ、戒め、祈り、願い、悼み――

 

 『報復譚』現代風に言うなら『ざまぁ系』『半〇〇樹タイプ』、割と王道ジャンルです。しかしこれの読後にスッキリ感はさほどなく、むしろどろりとした思いが強く残るでしょう。その恐れが生む重さこそが、今に残る魅力だと思います。

 説教くさくはなるけれど。 私は今こそこの話を、改めてみんなに読んでほしい。「身分」は表向きなくなったけど、上下関係に辛い思いをしている大人はたくさんいるはず。 メルヘン、フィクション、その奥にある本質を純粋な目で見てほしい。その瞳はいくつになっても開くことができると、私は信じているんだ。

 私はこれからも、発掘を続けていく。そして自分なりにその宝石をカットしてみる。 これは、そんなシリーズです。

 

 話を一区切りして、少し戻りましょう。大体冒頭の方ですね。

 最初は『和尚のとんち話』はなかったと思われます。突然毛色が変わりますから。つまり、「付け足された話」説濃厚。 なんのために付け足されたか?それは話の後の自分のドロリを少しでも和らげ…それよりも『少女に救われてほしい』と考えたからだと思います。幸せに、穏やかに成仏してほしい。『人も妖怪もある時代』だからこそ、こんな後日談があったんだよ!と付け足しても、誰も疑わないはず。ましてハッピーエンドならね。

 こわい話に、人がやさしくしたんです。

 皿屋敷の少女を題材にした落語がありまして、『井戸の美女に見惚れた者がわんさか集まり、9枚数えるタイミングでみんな逃げ出す』風変わりな人気者になった彼女は、アイドル生活を幸せそうにエンジョイしています。ここまでくると、恐ろしいだけでなく親しまれる存在になったんだな、としみじみ。これも『語り方の違い』なんでしょうね。

同じ話でも、話の『何』を『ピックアップ』するかは人それぞれ。古典ならではのバージョン違いなど見比べてみませんか?

今回はこの辺で、夢旅チロルでした。幸せが幸せを呼びますように。

 

P☆S: 私はスプラッタ物が苦手だといったな、あれはマジだ。 洋物ホラーはギャーッワーッグシャーッのお化け屋敷・和製ホラーはぬるぬるどろどろじめじめのしかかる肝試し(個並感)だが作者の意図で誰でもヴォエ! オエッゲホゲホ …しかし、その意図の本質によっては学ぶも(漠然の死)(ホラー噛ませの殺人演出やめろォ!)

 

20.10月. 6日投稿 修正:21.2月.25日

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