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夢旅団チロル

チロル

も一度読みたい!昔ばなし:1

更新日:

Howdy! 夢旅チロルです。

 今回はそう、題名通り昔ばなしについて不定期に語りたくキーボードを打ちました。メニューはオハナシ、考察の前後編。フラットな話し方でいきますのでよろしくお願いします。 さて、では一発目から強烈なヤツをいきますよ。特にこれからのテーマと、深く関わりがありますのでね。 それでは、むかしむかしのおはなしを、ゆったりお読みください。

  → 昔ばなし2

  → 昔ばなし3

     

◎子ども裁判

 むかしむかし、どこでも起こりえる話です。

あるところに、仲良しの小さな子どもたちがいました。毎日いっしょに、仕事を手伝ったり、野原を駆け回ったり、ごっこ遊びとかして遊んでいました。

ある日のことです。

「なあなあ、今日は『肉屋ごっこ』しようぜ!」 「お肉屋さん? おもしろそう!」

子どもたちは、やんやの賛成です。ごっこ遊びですから、さっそくみんなどの役をするのか決めることにしました。

「じゃオレ肉屋の大将!」 「私、お肉買う人―!」 「待ってぇ、肉屋の弟子やりたーい!」 「あっ、ボク…牛と豚のどっちがいいかな?」

     

 村長の家に、大人たちがなだれ込んで来ました。

「タイヘンだタイヘンだー!!」 「うわっ、なんじゃお前ら! ……どうした?」

大人たちのすごい表情に、村長びっくり飛び起きて、まあ、とりあえず、落ち着きます。

「子どもたちが、友だちの腹をさばきよった!」 「えっ」 「こ、子どもたちがごっこ遊びって言って友だちを…」

村長は息せき切ってあわてる大人たちを座らせ、お茶を出して、ひと通り話を聞きました。何があったか、なぜそうなったか、話をまとめます。確かに大変な事件です。これからこの村や子どもたちをどうするか、相談しなければなりません。

「人殺しだぞ、ごっこ遊びでもな」 「こんなこと二度と起こってたまるか。あいつらは裁判やってしかるべきようにすべきだろう」 「これから家畜は外でさばいてもらうか?」 「そんな手間な。つーか、子どもを牢に入れるのか? 吊るのか? 子どもにあれやこれを見せずに育てるのはムリだ」 「子どもはまねごとをして学ぶんだ。いや、確かに、子どもだからで許されることかはわからん…」

大人たちはやいのやいのと話し合います。くだんの子どもたちは、こことは別の場所に集められています。そして、よくわかっていないようなのです。 村長は話し合いを静かに聞いていました。そして、すっくと立ち上がりました。

「わしに考えがある。わしが裁判官をやるから、その子どもたちを連れてきなさい。あまり、緊張させぬようにな」 「は、はあ…村長が、言うなら。子どもたちを、よろしくお願いします」

待つ間に、村長は家の離れの小屋に、子どもたちの人数分、りんごと、金貨を用意しました。奥さんには子供たちにふつうに振る舞うように、召使いには子供たちをリビングに連れてきて、最後に空き部屋に案内するよう言って、自分は小屋で待ちました。

     

 やがて、子どもたちが連れてこられました。

「村長さんからジキジキにお話だってー」 「大事な話だよねえ」

「よく来たねえ。これから旦那がね、みんなにそう、だいじな話をするわ。召使いさんが一人ずつ連れて行ってくれるから。いいこと?」

奥さんの言葉に、ぺちゃくちゃしゃべっていた子どもたちは「ハーイ」「わーい」と元気に返事をします。やがて一人ずつ順番に、小屋に連れて行かれました。待っていた村長は、「よく来てくれたね」と、用意していたりんごと金貨を取り出しました。

「わしの話もつまらんだろうに、ありがとうな。どっちかあげるから、別の部屋で待っていなさい」 「わー! ありがとうございます~!」

さて。

 子どもたちはみんな、ニコニコ、ムシャムシャりんごを食べながら、小屋を出たのでした。村長は、あらためて空き部屋に集まった子どもたちに、ていねいに優しくとても厳しく注意をして、家に帰しました。

 それからというもの、村の子どもたちはみんな、誰かにケガをさせないように、気をつけて遊ぶようになったということです。

     

     

 これはグリム童話が、一番はじめに本として出版された時に載っていたおはなしです。二番目からは削られました。だってグロすぎるもん。そらせやな。子どもたちへのオハナシとして出したし。

 なぜ、村長はりんごを選んだ子供たちを許したのか。

 当時はまだ、大人になるのが早い時代でした。もう少し話すなら割と消耗品だったんだけど、別の話や。 子供はまねごと…ごっこ遊びをして成長する。ヒーローと悪役はいるかもしれないけど、悪気を持ってやるにはまだ早い年頃の子たちもいる。今回のように。 彼らに食べ物と財産とを選ばせることで、彼らを裁くのに大人か子供か区別したのでしょう。 お金なら色んな物のやり取りができますが、それがうまくできるのは大人。子供はそれより目の前のおいしいものを直接すぐに手に入れたほうがお得、という価値観だと判断したのでしょうね。お金を選んでいたら、大人と同じ刑法で裁かれていたでしょう。 小さい頃ってよく物々交換やったでしょ? ちなみに私は小6くらいでクリスマスツリーに『5000円ください』って書いてた。吊られる。

 うんまあ、子供が理解するのは難しい話だ。お察しくださいが多いから。額面通り受け取っちゃう子の心配をするのもわかる。でも私はね、これと同じようになりたくて友達のお腹かっさばくごっこする子供はいないと思います。 子供は最後の一言メッセージを、青少年は人を許す難しさと大切さを、大人は選択の意味を覚えていればいいと思います。

 『おはなし』が年代によって受け取り方が変わる、というのは有名な話です。そしてもうひとつ重要であろうことは、伝え方。 話の中で何が一番大切な教訓だと思ったのか、話し手の感性と聞き手によって変わるでしょう。この話をマイルドにするなら乗馬ごっこで骨折したとか、本当に恐ろしい話にするならそう表現するとか。  アニメの推しキャラについて話す時と一緒ですね!()  ちなみに、まったく関係のない日本でも、同じような話があるそうです。実に不思議ですな。人間って住む世界が違っても、同じようなことを考えるのかもしれません。

 童話や昔話は、時代や場所に合わせて、形を変えて今まで伝わってきました。増えたり、消えたり、見直したり、混ざったりしながら、ね。

童話とは何か。

昔話とは何か。

 改めまして、そんなことを夢旅チロルが好きに話していこうと思います。 よろしくお願いします!

     

参考:グリム童話を語ろう

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