Colorful Rat

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チロル

も一度読みたい!昔ばなし:3.1

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◎Howdy!  この文章は「昔ばなし3」の「白雪姫」の話を分割したものです。話の途中からですので、そちらを先にお読みください。読まれた方は続けてお楽しみください。  夢旅チロル

 どうやら ほかの はなしも よめるようだ ▼

  → 昔ばなし1

  → 昔ばなし3

(アップロード直前のチロルより:結局話はさらに分割されました、すみません 最低月1投稿ができるよう、がんばれたらなと思います 今カンムリ雪原が尊いマン… 次回、分岐パートです)

 

 

 

☆白雪姫:前回までのあらすじ

美しい王妃の元に生まれた白雪姫。誰にでも愛される利発な姫は、美しさゆえ命を狙われ、猟師によって森に逃がされる。森の小屋にお邪魔した姫は、住人の小人に色々教わることになったのだった。

試練、壁の高さ、壁の痕。

 

 

「嬢ちゃんボロボロやけどエエ生まれやろ。事情は聞かんし泊まってき」

「まあまあ、ありがとうございます」

 白雪姫がとりあえずにっこりすると(本当はすごく臭かったのですが)、小人たちはほれぼれして、少女を迎え入れると決めました。

「せやな、ほとぼりが冷めるまでおり。エエこと教えたるわ。へっへっへ!」

 

 小人たちは白雪姫が思ったより箱入り娘なのに苦労しながら、森の中で共に暮らしました。 必要なのは家事に畑仕事、病の知識、森での食べ物の見つけ方。城での振る舞い方はここでは役に立たないのです。一方姫のおかげで小人たちは菓子と紅茶につきもののお話、住みよい家の工夫、算数を学んだりしました。

姫はおかげで心根の優しさと気品はそのまま、だいぶ強靭になりました。 泥だらけでも不満ひとつ言わず、快適な生活のため一生懸命働きます。以前のちやほや姫はしなかったことです。小人たちも少女が良く物を覚えるので、姫が喜びそうな物を持ち帰るために一生懸命働きました。以前の小人はなあなあで働いていたのです。

「後は男を尻に敷くだけの魂胆やな!」「お尻を鍛えるのですか?」「せやな、鍛えとき。でもそういう意味ちゃうしな?」

すっかり森での生活に馴染んだ姫ですが、小人たちは少女が追われる身と知っています。ですがどう狙われるか見当もつかないので、いつも注意だけはしっかりしていました。

「俺らも大概やけど、森に入るモンにまともな奴なんてようおらん。人来ても居留守か、とりあえずシバき」「俺らも大概は余計や」「みなさまを叩くなんて、とんでもありません。お食事が汚いのを小突くくらいです」「「「よう言いよる!はっはっは!」」」

 

 お妃は魔の鏡と話していました。「ねえ、わたし国一番美しいでしょう」

『美しいとも、しかし貴女の娘が外に出れば褪せるだろう』

「あれは生きているの?」

猟師がしくじった、見逃したと気付いたお妃は、自ら白雪姫を手にかけると決めました。姫の美しさを奪えたと思っていたのに。鏡の欠片を持って変装をし、森の中に踏み込みます。鏡が示す通り森を進めば、ほどよく汚れた貧しそうな女の完成です。

その日、白雪姫は、斧で木を割っていました。昼まで薪を割ろうと汗をぬぐっていたその時です、ふくよかで体中汚れた女性が現れたのは。

 ――誰だお前――

鏡がお妃に『あれが姫だ』と伝えるのと、姫が動いたのは同時でした。「そぉい!」だったかはともかく、姫はその筋力で薪を振るって女性をしたたか打ち付けたのです。迷いがない。女性、もといお妃は悲鳴を上げてその場に荷を放り出して逃げ帰りました。 白雪姫は散らばった荷物の中に、上等な櫛があるのに気付きました。最近おしゃれをしていない年頃の姫は、それを手に取ります。

「昔、こんな風にお母様に髪を梳いてもらっ

 

『今、あなたの考えに直接語り掛けています…少女の命が危険にさらされています…』魔法の家が、小人たちに助けを求めました。久々に聞いたその声、そして内容に小人たちは飛んで帰ります。そこには見慣れない荷物と共倒れしている少女が。

「嬢ちゃああああん!!」

なんやかんやして頭に刺さった櫛を抜き、解毒したことで少女は一命を取り留めました。

「シバけ言うたけどそれで安心したらアカンて……」「はい……」「無視して、知らん人のモン触らんで、逃げるなり助け呼ぶなりやで……」「はい……」「変な欲をな、欲を出したらアカンで。しばらく、家の中で休んどきよし」

姫はまた一つ学びましたが、小人たちは姫の狙われ方のあまりに突飛なのを、不安に思っていました。

 

 一方、城に帰り着いたお妃は体を清め、上等な服に着替えると、また魔の鏡に話しかけます。

「ねえどうかしら、鏡よ。今度こそ、わたしがこの国いち美しくなったでしょう」

『美しきかな女王。貴女の娘は森に愛されるゆえ、より美しくなったろう』

お妃は怒りに震えます。どうして白雪姫が助かったのか見当もつきません。本来お妃は戯れや旅のためのみに、森に作られた道を通るだけでしたから、森のことは全く知らないのです。そしてまた、己の美貌のために姫を殺さなければと駆られるのです。

今度は妃は様々な紐を編み――結局、城内の物を取り寄せて、鏡の欠片とそれらを持って、再び森に入りました。 姫は小人に言われた通り、家の中で大人しく寝ていようとしていたのですが、どうにも落ち着かずに掃除や食事の準備をしていました。井戸も薪の山も外にあるのですが、今日はあつらえたように家の中に水や薪があるので、仕事に励むことができました。そこにやってきたのが、変装した妃です。家の形はそれとなく覚えていたし、鏡の欠片が教えるので、妃はドアを叩きました。

「とんとんやとんとんや、住んでいるなら開けておくれ。旅をしながら編んでいるよ。鎖、縄、紐、編み紐、糸、この森にはないよ。とんとん、とんとん」

白雪姫は窓からちらりと客人の様子を見ました。汚れた服で何か背負った、皮膚のたるんだ、しわがれた声の老婆です。姫は窓も玄関もカーテンも固く閉じていたので、息をひそめて隠れました。しかし鏡が姫がいると言うので、妃の方もずいぶん粘ります。 しばらく経ったその時、突然ガラガラッと薪が崩れました。妃は驚いて、持っていたものを取り落として、慌てて逃げ帰りました。

白雪姫もビクリとしましたが、悲鳴を聞いて不審者が逃げたと気付きます。ああ、よかったわ。この森で暮らすのに必要なものは、だいたい家のどこかにあるんだもの。姫は玄関の前にナニカ落ちていること、誰も家の周りにいないことを確かめます。そしてみんなにこれを知らせようと、改めて仕事を始めます。

「前にお母様と、茶葉の作り方を教わってよかったわ。新しく結んで干し

 

『少女の命が、危険にさらされています… …ごめん』

「嬢ちゃあああああん!!!」

呪われたかのように少女の体に絡みつく紐をほどくのに、小人たちはずいぶん苦労しましたが、なんとか彼女は息を吹き返しました。姫が首をかしげていると、小人の一人が言いました。

「わしらはお前が来る、ずうと前からここで暮らしとってな。親切なモンが建ててくれてん。わしらができんでも、勝手に布団干して、中掃除して、飯作ってくれる家や。家のモンが欲しい思うたら近くから取ってきてくれよる」

「あのう…、もしか、私が働かなくても、皆さまは生活できたのですか?」

「せやな、でも俺らも家も嬢ちゃん迎えるて決めたし、そいでもっときれいになったわ。けどここはな、時々変なん食わしたり、服雨でびしょ濡らしたりする家やねん。教えん俺らが悪かったな。『要る』思うたら取ってきてしまうねや。どない信頼する相手でも、時々は注意することや。誰でも失敗や悪い事はするさけにな。俺らも、もしかしたらな」

姫はそれを聞いて、しばらく落ち込んでいました。何のために自分はここに匿われているのだろう。しかし顔を上げます。姫として暮らしていた頃の気持ちが改めて湧き上がってきたのです。母はいつも、統率者の隣にふさわしい女になりなさいと言っていた。王の隣でなくてもいい。自分が賢明で在れば、自分を信じ皆からも頼られる人物になれる。ずいぶん育ててくれたこの家と家族たちに恩返しして、胸を張ってひとりだちできる。

それは欲望とは無縁の純粋な思いやりでした。

 

「鏡よ、鏡。わたしはしくじったわ」『承知だ。だが、姫もしくじった。今は姫でない女は、その美しさで森と醜い男たちに守られている。だが貴女こそこじ開けられる穴があるはずだ』

そして妃が浮かべたほほえみは、もはや人の物ではありませんでした。

 

 白雪姫はいっときは忘れていた、城で学んだことも改めて復習を始めました。そしてますます懸命に、仕事に取り組みます。森の住人たちと触れ合い、自分の持つ物語を語るだけでなく、彼らの話をも聞いて回ったのです。それは姫が未来を想ってのことでした。小人たちは、その姿勢を見守ることにしました。

そんなある日のことです。森の中に、美しく幼い少女が倒れていたのは。森の住人たちが白雪姫に助けを求めました。姫が駆け付けて調べてみると、彼女はきれいな服を汚し、あちこち怪我をしていました。他に持っていたのは、ふところにりんごひとつです。

姫はとりあえずその少女を家の前まで連れ帰り、応急処置を施しました。そのおかげか、少女は目を覚まします。疲れた顔で辺りを見回し、姫を見つめます。

「おねえさま、だれ?」

「私はこの森で暮らしている、そうね、今はユキって呼ばれてるわ。あなたはどうしたの? えらい人のこどもよね。どうしてこんなところに来ちゃったの?」

「うう、…おねえさま、おねえさま、わたし、おかあさまにおうちを追い出されたの……これから、どうしよう……」

しくしく泣きだした少女を見て、白雪姫は昔のことを思い出しました。そしてその頭を撫でながら言います。

「だいじょうぶ。この森は怖いけど優しいのよ。もしあなたががんばるなら、家も森のみんなもあなたの面倒を見てくれるわ。このおうちはとっても厳しいわよ。でもまずは、家の中でお眠りなさい」

少女はじきに笑顔を取り戻し、「ありがとう!」と家の扉を開けようとしました。ところがとたん蝶つがいが壊れてしまいます。姫ががんばっても、家の扉は壊れたままです。

「ううーん、仕方ないわ。うん、お腹すいてるでしょう。何か食べましょう」

「じゃあおねえさま、このりんご、はんぶんこで、食べたい!」

「ええっ…あなたのりんごでしょう?」

「おねえさまと食べたい!」

差し出されたりんご。昔の自分と、この健気な少女を重ね合わせ、姫はまあ一口と、かぶりつきました。

 姫は倒れ、少女の皮を剥いだ魔女は高らかに笑い、その場を去りました。

 

 

☆話は白雪姫3.2に続く・・・

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